四谷進学会による芝中学校・芝高等学校-学校インタビューです。

四谷進学会では各学校へインタビューを行い、生徒様へ確かな情報提供や進路相談に対応いたします。

注目校インタビュー

芝中学校高等学校

芝中学校・芝高等学校-学校インタビュー

四谷進学会プロ家庭教師センター(以下、四谷):今回は、芝学園芝中学校高等学校入試広報部の武藤先生と布能先生にお話しを伺います。どうぞよろしくお願いいたします。

武藤・布能:よろしくお願いします。

四谷:まず、芝学園の教育方針について、お伺いできますでしょうか。

武藤:本校は浄土宗の学校として100年以上の歴史があります。一言でいうならば、本校には二つの柱があります。一つには、第三代校長である渡邊海旭先生が示した「遵法自治(じゅんぽうじち)」です。「遵法」とは真理に従うこと、「自治」とは自主・自立の精神で自分を治め、自己を確立することを表しています。そしてもう一つには、共生(ともいき)の精神があります。どんな共同体でも自分一人では生きていけません。謙虚に相手のことを受け入れ、尊重することの大切さを育んでいくという意味です。これらを基にした「人間教育」を根幹としています。

 

「豊かさとは何かを考えさせられる。」

武藤:芝の人間教育がどんなものかを説明する上で、まず海外研修のことをお話ししたいと思います。芝では海外研修の一環として、ベトナム研修があります。ベトナム研修では異文化交流、そして視野を世界に広げることを目的としています。都市ホーチミンから車で2時間行ったところのメコン川流域に、カイベー村があります。高校1・2年生を対象として、約15人の生徒が行きます。ベトナムはまだまだインフラが整備されていないので、電気は何度も止まりますし、生活用水は雨水だったりします。火はカマドで起こす、もちろんコンビニなどない、そんな環境の中で暮らすカイベー村の人達は、驚くほど生き生きとしていて、子ども達は多くの夢を持っています。私達はモノがあふれる社会で暮らしていますが、本当の意味での豊かさとは何なのかを考える機会として、芝の人間教育にぴったりの海外研修だと思います。

ベトナム01

四谷:語学研修として欧米に行く学校は多いですが、途上国に行くのは珍しいです。

武藤:ニュージーランドやカナダへの語学研修ももちろんあります。目的が異なるということですね。ベトナムは英語圏ではないので、言葉も通じません。挨拶を終えた後、沈黙が続くんです。両親もベトナム語しかしゃべれません。そういう体験の中から、自分の想いを伝えるためにはどうしても言語が必要なんだ、という考えに自然とたどり着きます。観光ではなく、生活の中に入り込む、そういったことが芝の人間教育には最適だと考えています。

 

「無駄と思われることもたくさんさせる。」

四谷:面白い研修やイベントをたくさん行っていますが、どのように決められるのですか?

武藤:教員が発案し、職員会議でいろいろと相談して方向性を決めていきます。芝の良いところの一つは、教員の結束力です。数年前、富士山がまだ世界遺産になる前、高校1年300人全員で富士山の頂上を目指しました。一学年だけでは教員の数が到底足りないので、別の学年の教員も参加しサポートする、こうしたシステムが芝の教員力の一つだと言えます。同じ高校1年で言えば、二泊三日で琵琶湖一周を自転車でしたこともありました。1日あたり約60~70kmを走破する厳しい道のりでしたが、緻密な計画を立てて、無事に達成することができました。もう二度と出来ないだろうと思いますが(笑)

これらのことに通じるのは、芝の教員達は、無駄と思われることもいっぱいさせようとしていることです。便利で豊かな世の中になったために、簡単なことは伝えても、面倒くさいことや遠まわりなことに意義があることは、伝えきれていない部分が多いと思います。雑巾が絞れない子もいれば、ご飯の食べ方が汚かったり、お風呂から濡れたまま出てきたりする。みんなで入るお風呂なんだからきちんと使うのが当然だと教える必要があるんです。

布能:補足ですが、琵琶湖一周した時、自転車に始めから全員が乗れたわけではありませんでした。全員参加が芝の決まりなので、乗れない子達は夏休みに来て教員が練習に付き添い、自転車に乗れるようにしてから参加したんです。授業の例としては、「技術」の時間で包丁を作らせたりするんです。最近では危ないという理由で子どもの近くに刃物を置かなかったりしますが、本来生活する上で必要なものですよね?木工でもあらかじめ用意されたものではなく、ノミの刃を研ぐところから始めたります。ケガをせず使えるように教える必要があるんです。一見無駄で非効率のように見えるけど、実はとても大切なことですね。

 

「絶妙な教師力。」

四谷:先生方も個性的だとお聞きしました。

武藤:芝には「絶妙な教師力」という言葉があります。校長も好きな言葉なのですが、教員達が子どもに向かう情熱はすごいものがあります。若い教員達もそうですが、年配の教員達は特にリーダーシップを発揮して、全体を引っ張っています。担任を持っている教員を決して一人に負わせず、学年で共有しみんなで解決するという土壌が出来ています。子育てには特効薬はないですよね?手を変え品を変え、同じ意味でも違う言い方をしたり、一人ではなくてチームで子どもを見ていく、それがうちの力なんだと思います。本音で真心を持って付き合っていかないと、本質は変えられません。これは本校の石川副校長の話なのですが、「狭い土地に高い建物を建てることも出来る。でも出来るだけ土地を拡げてあげたい。そこに小さい家を建てようとするかも知れないし、大きい家を建てようとするかも知れない。それは彼らが考える未来であり夢であり、生きがいであるだろう。出来るだけ、子どもの可能性を拡げてあげたい。」このようなことを申していました。私達は長い教員生活の中で芝という学校に深く携わってきたことで、どう子ども達を育てようか、どういう子ども達になって欲しいかを、教員達がそれぞれの想いで、それぞれの視点から考えている。それがうちの教員集団のすごいところではないでしょうか。芝では、「すべての教科が主要教科」と言っていて、「芸術」「技術・家庭」「保健・体育」なども主要教科の一つです。つまり教員全員の関係もフラットだと言うことです。例えば「音楽」ではバイオリンが必修だったり、どの教科にも力を入れています。

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「逆引きの進路指導。」

四谷:進路指導はどのような方法で行われていますか?

武藤:「逆引きの進路指導」と言われる進路指導を行っています。まず職業調べから始まり、どんな職業につきたいかを考えます。それから大学のキャンパスに行ったり研究室で調べたりして、具体的にどういうことをやりたいかを考え、そのためにはどの学部に入る必要があるかを決め、それから志望大学が決まり、入学に向けて勉強するという流れです。大学に入ることを目的として入学した場合、その大学で挫折してしまったら軌道修正が利きにくいですよね。芝では目先の実績ではなく、長期的な視野での進路指導を行っています。

四谷:職業調べは具体的にはどのように行うのでしょうか。

武藤:たとえば「卒業生のお話しを聞く会」では、芝のOB達が自分が就いている職業のことをいろいろ話してくれます。フォトグラファーやパイロットを目指すOBなど、様々な職業に就いた子達が来てくれます。この間、ドアミラーの受注発注をやっているという子も来てくれました。車が好きでその関係の仕事に就きたいけれど、理系ではなく文系だったため、文系で車に携われる仕事はないかを考えて大学に進み、今の職業に就いていると言っていました。ドアミラーを持って来て「おれがこの仕事をちゃんとやらないと車は作れないんだ」と言いました。僕はそれを見ていいな、と思ったんです。高卒で新幹線の運転手になりたい子もいました。大学を出てから就職をする道もあるのではという話も出ましたが、大卒だと幹部になって運転手ではいられなくなる。ずっと運転したいという強い意志がありました。自分の興味のあること、好きなことを貫いていれば、軸はブレません。

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「手を離して抱きしめる。」

四谷:先生方が生徒さんの意思を認めて、進みたい道を後押しできるのはすごいことだと思います。

武藤:現在の校長である春日先生の言葉で、「みんなちがって、みんないい」があります。世の中には誰ひとり同じ人間はいないように、芝の1750名の生徒もまたそれぞれ違った人間であり、個性を持っています。その個性を後押ししてあげることが教育なのではないでしょうか。

そしてもう一つ、「手を離して抱きしめる」というものがあります。これは自立とも関係があるのですが、小さい頃は子どもをぎゅーっと抱きしめますよね。子どもに自我が芽生え始めると、抱きしめられることに抵抗を感じるようになります。しかし、小さい頃にしっかり抱きしめてあげた経験があれば、その後手を離していても、抱きしめた感触を覚えて子どもは自立していく、という意味です。子育てに秘けつはありませんが、親が悩んだり心配することが過剰になり過ぎて、甘やかすことは抱きしめたことにはならないんです。

このようなことと関連するのが、「相談室」です。芝の独特のシステムで、バックアップの役割を果たしています。現代の子ども達は、色んな悩みを抱えています。不登校なども誰にでも起こり得ることですが、芝では絶対にほったらかしにはしません。スクーリングは出来ないけど単位制のところなら行けるかもしれないとか、将来への道しるべを示すことも相談室の大事な役割です。

 

「教員と生徒との信頼関係。」

四谷:先生方と生徒さんとの距離が近いと感じます。

武藤:学園祭を例に出しますと、芝の学園祭は昨年では約14500人ぐらいと大学並に集まります。規模は大きいのですが、マニュアルが先輩から後輩に受け継がれていて、非常にシステマティックに効率化されています。それでも、予想を大きく超える人気イベントがあったりすると、臨機応変な対応が必要になります。それを教員達がすぐに対処するのではなく、生徒達自身で事態を収拾するのを辛抱強く待っています。教員達は健気にお客様からのクレームを聞いています。学園祭当日に至るまで、教員達も裏方として生徒達と一緒に作り上げているので、生徒達に達成感を味わわせてあげたいのです。教員と生徒との信頼関係がなければ、学園祭の成功はありません。それと、校内研修で教員に伝えていることがあります。子どもが学生服を着て並んでいると、その子の背景が見えず、全員同じに見えてくる、本当は一人一人が違う生い立ち、生き方、環境、違う親の元で育ってきている、それをちゃんと見てあげて欲しいと伝えています。この子達はいつまで学ぶのかと言えば、芝を卒業しても学び続けます。そして鮭が戻ってくるように、10年後20年後に顔を見せに戻ってくる。卒業した後に、芝が好きという卒業生がたくさんいる、それがうちの宝です。

布能:芝では、授業の中で教師と生徒がフランクに話し合えることも多く、その中にいつでも帰ってきていいよ、というメッセージが込められているんです。生徒としても、卒業したからと言って関係性が終わりではないと自然に感じていると思います。PTAも協力的なので、芝という故郷に帰って来やすいですね。芝が好きということで言うと、「学校を楽しいと感じるか」という校内アンケートでは、90%以上の生徒が楽しいと答えています。これは全国的に見てもトップクラスではないかと思います。

 

「全てが第一志望。」

四谷:大変貴重なお話しをありがとうございました。今日、お二人にお話しをお伺い出来たことは忘れません。最後に、中学受験生へのメッセージをお願いいたします。

武藤:本校ではwebによる出願や合格発表を行っていません。その理由は、受験生親子が受ける学校に足を運び、どんな学校かを肌で感じて自分で選択することが大切だと考えています。合格発表では、受験生親子達が一斉に合格ボードを見ることになります。合格した子もいれば不合格の子もいる。喜んでいる子もいれば、不合格で泣いている子もいる。そして不合格になった子は、12歳なりに自分のその後の生き方を決めなければならないんです。それぞれの家族でドラマが必ずありますし、家族のキズナが出来ます。受験を通して得るものはたくさんあります。僕たちは受験の合否は「縁」だと思っています。実力があっても入れないこともあります。ですから志望校は複数選んでおく必要もあります。志望校は偏差値で並べるのではなく、それぞれの学校の良い点を見つけなくてはなりません。第一志望、第二志望、第三志望ではなく、全てが第一志望なんです。この学校で出来ないけどこの学校なら出来るということが、必ずどの学校にもあります。そのようにして芝のことを見て頂き、良いところに気づいてくれたなら、是非、芝を受験して欲しいと思っています。

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授業のポイント

英・数・国などの科目は大学受験に対応するために先取りを実施しています。また、高校3年では演習中心の授業を行っています。同時に中学・高校における教育は単に大学受験の準備に終わるものではないという認識に立ち、より豊かな人格形成のため、音楽・美術・技術・家庭・保険体育・道徳など想像力、情操面を高める教育に力を入れています。

☆学習効果を高めるための様々な特徴
①毎日の授業を大切にし、進度に合わせた手作りの教材を用いています。
②学力の定着を図るために、教科担当が必要に応じて始業前や放課後に補習を行っています。
③夏期に(高2・高3は春期・冬期にも)集中的な講習を行っています。
④新年度初めには、前年度学習内容の総復習を促す「振り返りテスト」を行っています。
⑤新しい教材、実際に見る作るなどの体験ができる教材を多く用いています(実内実験、校外での観察、木工・金属作品の製作など)

部活動・学校生活の様子

現在36のクラブがあり、全校生徒の約80%が所属し、勉強とクラブ活動を両立しています。特に中学1年生の加入率は100%に近く、活発な活動が行われています。上級生がクラブ運営を行ったり、下級生に親身になって指導している姿が多く見られます。またチームメイトと一つの目標に向かって切磋琢磨する姿や、仲間と和気あいあいと意見を出し合う姿も多く見られます。

2015年5月より配信されているスペシャルムービーでは、スマートフォンやタブレット端末からクラブ活動や学校生活の様子を見ることができます。簡単な操作で、それぞれのクラブの雰囲気や施設の紹介、普段の学園生活の様子などを動画で見ることが出来るので、実際に入学した時のイメージが沸きます。
※以下の「パンフレットPDFダウンロード」から登録・閲覧が可能です

大学合格実績

特定の大学への進学を勧奨しておらず、生徒の興味・関心にしたがって志望する大学を決め、そこに合格できるよう励ましサポートしています。結果として、首都圏以外の地方の国公立大学を積極的に志望・進学する生徒が多いのが特徴です。また、多数の医学部進学者もいますが、医学部進学に特化しての指導は行っていません。

※2015年度の合格実績例
☆国公立大学(合計105名)
東京大学14名
京都大学4名
一橋大学7名
東京工業大学12名
北海道大学2名
東北大学4名
大阪大学2名など

☆医歯薬学部(合計63名
国公立医学部9名
私立医学部54名
歯学部3名
薬学部23名

☆私立大学(合計716人)
早稲田大学103名
慶応義塾大学87名
上智大学38名
東京理科大学95名など

学校説明会

第1回:5月29日(金)
第2回:10月20日(火)
第3回:10月21日(水)
第4回:11月7日(土)
第5回:11月28日(土)

・時間は全て、11:00から12:50まで(13:00より校内見学あり)
・事前申し込み不要
・上履き不要
・会場は本校講堂(1500名収容)

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