四谷進学会による開成中学校高等学校-学校インタビューです。

四谷進学会では各学校へインタビューを行い、生徒様へ確かな情報提供や進路相談に対応いたします。

注目校インタビュー

開成中学校高等学校

開成中学校高等学校-学校インタビュー

四谷進学会(以下、四谷):今回は、開成中学校高等学校の広報委員長、金田知之先生にお話しを伺います。金田先生、よろしくお願いいたします

開成中学校高等学校金田先生(以下、開成):よろしくお願いします。

四谷:それではまず、開成の教育理念や目標について、お話を伺えますか?

開成:はい。まず開成が大事にしていることの一つは、基礎となる「学問」です。開成の校名の由来となっている、「開物成務」は学問を開いて務を成すという意味です。「質実剛健」は外を飾るのではなく、中身を充実させるという意味です。そして「ペンは剣よりも強し」は、どんな力にも屈することのない学問・言論の優位を信じるという意味の言葉で、開成を表す校章にもなっています。これらが、学問を行う上で重要だと考えています。もう一つ大事にしていることは「自由」です。自主性や自立心を持つことを生徒も教員も共有し、ただ与えられる自由ではなく、真の意味での自由を得ることを学園全体として意識しています。授業や部活動や行事など、学校生活にかかわるあらゆるものについて、自分達自身でやりたいことを計画し実行に移して、失敗も含めて経験してもらいながら、それをまた次に生かしていきます。

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失敗というとネガティブに捉えられがちですが、本校では大きな失敗でない限り、むしろ失敗は成長に必要なことの一つだと考えています。例えば、子供が歩き出したときに手を差し伸べて転ばないようにするのではなく、多少の痛みであれば転ぶことで味わわせるということでしょうか。いろんなことにチャレンジが出来て、失敗や挫折を含めて、次のステージに進める環境作りを意識しています。部活動での指導でも言えますが、執行部と呼ばれる高校2・3年が後輩の指導にあたることで、自分達が吸収してきたものを後輩に伝達しています。

四谷:とても素晴らしいことだと思いますが、一般的な学校では、まず生徒さんに任せるレベルまで達するのが難しいと聞きます。そこまでに育てるにはどうしたら良いのですか?

開成:それは一朝一夕では難しいですよね。やはり、長い伝統があってのことだと思います。時代の流れの中で社会情勢が変わり、常識や人の価値観が変化する中で、うまくいったりいかなかったりしたことを、自分たちがより良い形に工夫して作り変えていく、そして、少しずつでもそれを後輩に引き継ぐ。この連鎖をうまく紡ぐことが開成の良いところですし、うちのやり方だと思います。教員はそこに深くは介入せず、大きく転ばない程度に脇で見守ることをします。

四谷:先輩の背中を見て、後輩が育つということもありますか。

開成:そうですね、それはすごく大きいと思います。教員から見ていて思うのは、横の繋がりと縦の繋がり、同学年同士だけでなく学年を越えた生徒たちの結束力です。先輩は後輩のことを良く思って面倒を見ますが、手取り足取り教えるのではなくて、ある程度自分で考えさせる指導をします。部活動や運動会で育まれた関係が、将来の大学進学や職業選択にも影響します。後輩は先輩を自分のロールモデルや憧れとして、自分の成長に生かしていると思います。

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四谷:学校としての指導方針や、何か具体的な取り決めはあるのでしょうか?

開成:教員一人ひとりが生徒に対してベストだと思うことをやっています。大学入試を目的とはせず、将来社会人になる彼らに何を残せるだろうかというような根本的なことが共通意識にあります。ただ、授業の内容や形式、生徒への接し方など、その手法は本当に百人百様です。特に授業は、各教科の専門家として学問としての授業を行っています。良い意味で大学のような感じといえるでしょう。かなりの部分、教員に自由が担保されています。もちろん、前提として生徒達の基本的な素養があります。素養を持った生徒が集まると、教員もより意欲を持って授業が出来ますし、より質の高い授業を行っていけるのだと思います。総じて,具体的な取り決めは少なく、教員・保護者・生徒間の意識の共有を大切にして毎日を送っている感じでしょうか。

四谷:オリジナルの授業計画や教材準備など、先生方も大変な労力だと思います。

開成:そう思います。しかし他の校務に割かなければならない時間はかなり抑えられていますので、授業中心に時間は取れています。自信を持って生徒に向き合える環境は整っています。次世代の人材育成や、世界の変化への対応を考えると、多様な授業を行うことによるメリットは強くあるでしょう。例えば、ある先生だからこそ持っている物理の考え方があり、それを生徒達に直に説明することで、深い考えに達するということがあると思います。そういったそれぞれの考えを、複数の先生ですり合わせて平均化してしまうと、将来彼らが社会に出た時、画一的になってしまう懸念があるのです。先生もトンガって、授業もトンガっているからこそ、生徒もトンガれる。そういったことを大切にしています。

四谷:「世界の変化への対応」についてですが、変化を起こしていくという意味も含めてでしょうか。

開成:そうですね。規模的な意味では大小あると思います。世界を変えるようなイノベーションもあれば、身の回りの小さな発見ということです。これまでにはない、新しい価値観を生み出していける能力を育ててほしいという想いもあります。その前提として、やはり基礎基本が大切だと考えています。基礎があれば積み重ねもしっかり積み重なっていくでしょう。我々教員は、種をまき水をやるだけです。どんどん伸びていくのは生徒本人であり、いろいろな伸び方があります。生徒が様々な方向に枝を伸ばし葉を茂らせていく。時には種をまいた我々が想像できないような成長もあり、驚きと共にたいへんうれしく思うことがあります。

四谷:学習面だけでなく、行事や部活も含めてハードワークをこなしているようですが、何事に対しても一生懸命やっているのですか?

開成:全体的には程よく、自分の好きなものに対しては、一生懸命に取り組むということですね。運動会の委員会や部活動も強制ではなく、やりたい委員に就き、やりたい部活に入る。もちろん、運動会の競技自体はみんなでやりますが、多くの部分において自由度が高いと言えます。そして、自分の好きなことを見つけるということは、その後の成長にも大きく繋がります。優秀な生徒が集まっていますので、入学前の小学校や中学校では飛びぬけて優秀だったとしても、入学後は上には上がいると痛感する子がほとんどでしょう。

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中学では1学年300人、高校では1学年400人いますが、学業という一つのモノサシで見ると、1番から400番まで順位がついてしまいます。つまり、1番は1人だけです。ただ、授業の評価自体は絶対評価でやっているので、生徒の努力を他者との比較で測らないようにしています。すると、どれだけ伸びたかは過去の自分との比較になります。友達やクラスメイトは、ライバルというよりも仲間で、お互いを尊重出来るのです。自分は数学が得意だなと思っていても、もっと数学が得意な子がいる、英語が得意な子がいてももっと英語が得意な子がいる,タフな環境ですが、みんな仲良く過ごしています。これは男子校としての良さなのかも知れませんが、けっこう心をオープンにできます。変に鼻にかけるような子も少ないので、数学がもっと出来る子がいたら単純にすごいなと思いつつ、自分ももっと頑張る。そうしながら、自分の個性や長所とはなんだろうと考える。そして部活動なり行事において、幅広い役職や分担があり、そのなかで自分の長所に合った好きなものを見つけて、それを大切にコツコツとやっていく。開成には勉強も部活も全ての種目ができて、運動会でも文化祭でも全て負けなしという子はいません。優秀な同級生がまわりにいるので、おのずとお互いに尊重しつつ切磋琢磨しながら成長していく環境が形成されていきます。

四谷:「多様性」についてですが、海外出身の生徒さんもいるのでしょうか。帰国生入試などは設けていないと伺っています。

開成:はい。帰国生枠や優遇措置は設けていません。ただありがたいことに、毎年一定数は海外から入学する生徒はいます。生徒の個性による多様性は開成の大きな財産なので、その一翼を担う「帰国生」という個性を開成は歓迎します。同じ試験では合格するのが大変そうだと思うかも知れませんが、入学後は同じ基準で合格してきたことが自信に繋がります。そして、帰国生と国内生との違いは、出身地の違いでしかありません。僕は千葉出身、僕は東京出身、僕はニューヨーク出身などと、なんの分け隔てもないわけですね。環境によっては、帰国生で英語が達者な子は、それを自慢しているのではないかと思われるのが嫌で、自分の長所を抑えてしまったりします。開成では個性豊かな生徒がたくさんいるので、あいつは英語が出来るんだなと、そのぐらいにしか考えない。引け目や負い目とか、我慢しなければならないということもなく、学生生活を送れるのです。我々としてはどうしても「帰国生」という呼び名を使ってしまいますが、同じ土俵に立っているので、特別に帰国生向けの何かということはありません。開成でのこのような環境をプラスに捉え、帰国生も一人の開成生として、自由に個性を発揮して欲しいです。

四谷:帰国生が日本社会に戻った時、疎外感があるという話を耳にしますが、開成ではそういったことが起こりにくいわけですね。それに関連して、いじめも起こりにくいように思います。

開成:そうですね。もちろん成長期ですので全くないわけではないですし、他の学校さんのことは分かりませんが、起きにくい環境を保てています。それに加えて、カウンセラーの先生と、担任や学年の先生とが密に連携して、いじめらしき事案に対しては迅速に対応できています。

四谷:大学卒業後の就職先などについてもお伺いできますか?

開成:理系・文系も含めて、かなり幅広い分野に就職しています。学究系だけではなく、芸術や体育分野、なかには起業する卒業生もいます。伝統的・保守的な職業からベンチャー企業まで、非常に多様な就職先です。リーダー気質のOBもいれば、一歩引いて縁の下の力持ちの,いわゆるフォロワー気質のOBもいます。それぞれが自分の資質を上手に生かして人生を選択していると思います。

四谷:遅れ気味の生徒さんへの補習や大学入試のための補講などはありますか?

開成:中学については、まずは自学自習が出来るように細かく指導しています。特に補習授業期間などは設けていません。教員それぞれが、テコ入れを必要とする生徒に声をかけ対応しています。なお、高校1年では新たに入学する100人に対して、古典や数学の補講が期末試験後ごとにあります。高3生に対しては、大学受験対策として夏期講習や冬期講習が幾つかの科目で開講されます。

四谷:学校によっては、範囲を早めに終わらせて、高3次は大学受験対策に充てる場合もあるようです。

開成:そのへんのバランスも、教員によって異なります。もちろん大学入試を意識しないわけではないですし、結果的にうまく授業の中で学問として取り上げたりはしますが、大学入試の問題ばかりやっていると、生徒達が授業に向かなくなってしまいます。それぐらいなら自分でやればいいやと思ってしまう生徒もいますので、状況や授業の雰囲気をみながら、臨機応変な対応をとっています。そこもやはり教員の一存に任されていますので、信念や哲学により方向性も幅広くなります。

四谷:あまり受験対策を行わず、自然に東大などの最難関大学に合格していくのは凄いことです。

開成:大学で学ぶ内容を中学・高校の授業でも無理なく扱うことで、学問としての教養が増していきます。その結果、特に訓練をしなくても問われていることの意味が分かり返答できるということもあります。大学入試対策を全くしないということでは勿論ありません。先の学問を見据えていることや教師の哲学を彼らが承知し,いろいろなことを授業で吸収しているのだなと思います。ある意味、それを出来ることが強みです。

四谷:本当に受け身ではないですね。仕方なく勉強しているお子さんも多い中で、なぜこれほど違うのかと驚きます。

開成:日々、先生方が学問と興味とを結びつける仕掛けをしています。授業の中にはその仕掛けが散りばめられていて、自然と教養が身に付いていきます。先生が言っていたことを考えたり、友達同士で話してみたりしながら、深い理解に繋がっていくのだと思います。開成というと生真面目な生徒ばかりという印象を持つ方もいますが、授業は元気いっぱいですね。みんなシーンと黙って聞いているというよりは、本当に楽しく活発に授業が進んでいきます。もちろん疲れている時は、生徒の集中力も落ちることはありますし、こちらの授業が平板だと生徒の興味もぐっと下がりますから、僕たちも力を抜けません(笑)

四谷:理系と文系を分けないことについての意図はありますか?

開成:理系・文系を問わず、高校レベルまでの基礎は全て身に着けて欲しいという想いが根底にあります。将来の選択を消去法で選ぶのではなく、好きなコトを選ぶようにして欲しいとも思っています。高校3年の選択授業では、理系・文系の区別も多少存在しますが、クラス分けでは同じ進路の者が固まらないように配慮しています。また、高2から高3にかけては、運動会の関係もあり、クラス替えを行いません。卒業後、社会に出て仕事をしていたとして、他分野の意見を参考にしたい場合、自分のクラスを当たれば必ず理系も文系も一定数いるという状況を考慮に入れています。開成でのクラスメイトに聞けば、大体の意見が集まってくるということですね。卒業後も多様性を生かせるための配慮をしています。

四谷:大変貴重なお話をありがとうございました。

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運動会

運動会では、もちろん競技が一つのメインではあるのですが、応援も特徴的です。画像をみていただけるとわかるのですが、「アーチ」と呼ばれる大きな絵があります。これは高3の各組で描きたい者が係を担い、デザインから考えて自分たちで描いていくのです。「エール」という応援歌もあります。作詞作曲や録音、その後の下級生への応援歌指導までの全てを自分たちでやっていきます。振付も先輩たちが作り上げてきた伝統を踏襲しながら、自分たちの考えも入れて作っています。色がついているものは「タスキ」といって、運動会前にクラス全員で作っていきます。「タスキ」を編むといったりします。

自分達自身で、一つ一つのことを準備するので、本当に一生懸命に取り組みますし、生徒同士の絆も強くなります。予算を組むところから始まり、物品の購入、その組み立て、当日の進行、そして反省まで含めて生徒が中心になって行います。教員は必要な承認だけで、審判から進行から全部生徒がやっています。自分たちで挑戦したことの成功や失敗を経験し、力強く成長していって欲しいです。

修学旅行

約1年間掛けて、旅行委員を中心とした生徒全員で、旅行の目的からはじまり行先の決定や内容・運営といった全てを決めていきます。必要に応じて旅行会社さんと直接連絡を取り合ったりもします。

たとえば行先の決定では、まず旅行委員会内で北海道や九州など行きたい方面が同じ者でチームを結成します。その後、各チームで旅行の目的に沿った其の方面の意義、見たいもの食べたいもの、アトラクションやレクレーションなどの内容を大まかに選定し、それを学年集会でプレゼンします。チームごとの競争です。パワーポイントを使いながら、どのようにして旅行の目的を達成するのか、ここに行ったらこんなに良いことがあるんだぞ!という感じです。そうして4つぐらいの魅力的な候補のプレゼン終了後は、学年全員の投票により行く地域を決定します。行先の決定後は、コースの作成です。コースの数・定員・内容・実行計画を細かく詰めていき、コースの希望調査・決定などあらゆることを旅行委員を中心にみんなで行います。

旅行については、学年ごとに指揮を執ることが出来るので、リーダーシップ・フォロワーシップなどが大きく成長する良い機会だと思います。各自、事前レポートと事後レポートをまとめることも行います。

部活動一覧

☆運動部

弓道部、ゲートボール部、剣道部、硬式庭球部、硬式野球部、サッカー部、山岳部、柔道部、水泳部、スキー部、ソフトテニス部、ソフトボール部、体操部、卓球部、軟式野球部、バスケットボール部、バドミントン部、バレーボール部、ハンドボール部、フェンシング部、ボート部、ラグビー部、陸上競技部、ワンダーフォーゲル部

☆文化部

E.S.S(英会話)、囲碁部、演劇部、折り紙研究部、音楽部、開成管弦楽団、クイズ研究部、K.A.M.C(手品)、軽音楽部、コンピュータ部、J.G.K.(ジャグリング)、社会科研究部、写真部、将棋部、書道部、数学研究部、生物部、地質部、鉄道研究部、天文気象部、俳句部、パズル研究部、美術部、物理部、文芸部、弁論部、模型部、理化学部、コントラクトブリッジ部

☆同好会

合気道同好会、L.L.S.同好会(大学で学ぶ数学研究)、海馬研究会(記憶力の鍛錬)、TBS研究会(数学研究)、ボードゲーム同好会、マクロビオテック同好会、競技かるた同好会、JAZZ研究同好会、球技同好会、開成すみズミ同好会(校内探検)、海外活動連絡同好会、K.I.S.S.同好会、外国語研究同好会、開成ピアノの会、IQ同好会、KAISEI DANCE同好会、ブーメランを飛ばそう同好会、謎解きゲーム同好会、人狼研究同好会

2016年度大学入試結果

☆国公立大学

東京大学:171名

一橋大学:6名

東京工業大学:11名

東京医科歯科大学:13名

北海道大学:9名

東北大学:6名

他多数

☆私立大学など

早稲田大学:283名

慶應義塾大学:178名

上智大学:8名

東京理科大学:89名

海外大学:7名

他多数

※合格者数の合計で、現役OB含む

※2016年6月18日時点での判明分で、全学部の合計数で算出

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