四谷進学会による東洋大学京北中学高等学校-学校インタビューです。

四谷進学会では各学校へインタビューを行い、生徒様へ確かな情報提供や進路相談に対応いたします。

注目校インタビュー

東洋大学京北中学高等学校

東洋大学京北中学高等学校-学校インタビュー

四谷進学会(以下、四谷):今回は、東洋大学京北中学高等学校の校長を務めておられます、石坂校長先生にお話しを伺います。石坂先生、よろしくお願いいたします

石坂校長先生(以下、校長):よろしくお願いします。

四谷:それではまず、東洋大学京北中学校の教育方針について、お伺いできますか?

校長:はい。まず私学の特色として大事なことは、建学の精神をきちんと引き継いで、それを教育の中に具体的に反映していくということだと考えています。歴史ある学校であれ、新しく創る学校であれ、この考えは同様だと思います。本校の建学の精神は「諸学の基礎は哲学にあり」です。その解釈が第一歩だと考えています。本校の一番の特色は、哲学教育です。でも、哲学と言われても理解しにくいですよね。そこで私達は「生き方教育」とも言っています。生き方教育とは、人生をより良く生きるために、大切にしなければならないこと、必要なことを学ぶ教育です。

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どのように過ごしていても、結局人生は生まれてから死ぬまでの期間ですよね。その一度しかない貴重な人生をより良く生きるということが本校のテーマです。

では、より良く生きるというのはどういうことでしょうか。それは、人の役に立つ生き方ができることだと考えています。言い換えるならば、社会に貢献できる生き方ということになるわけですが、仕事であれ、仕事以外のこと、例えば日常生活であれ、人の役に立つように考え行動をすることが自分の生きがいになり、自分の人生をより良く生きるということに繋がると考えています。学校中でより良く生きるためにはどうしたら良いのかを考える様々なプログラムや行事などを設定していますし、日々の学校生活の中でも、人のことを考えるように促しています。社会に出たけれど、挨拶も出来ないしマナーも守れないという人にはなって欲しくありません。いくら社会をリードする人になったとしても、社会的地位が高くなると、ややもすれば天狗になってしまう人もいますが、そうではなく相手に対して礼を尽くす人になって欲しいのです。

 ここで本校の心掛けをご紹介します。

「正礼し正聴し尽瘁(じんすい)すれば不可無く良生なり」

という言葉で表現し、各クラスに一枚一枚書にして張ってあります。

心掛け

まず礼儀を正すのが第一歩です。そして人の話をしっかり聴くことが大事です。尽瘁の「尽」は努力するということ、「瘁」は病気になることで、「不可無く」とは、不可能なことは無いということなので、労苦を惜しまずに一生懸命取り組めば、不可能だと思われることも可能になるという意味です。そしてこのことは、より良く生きるということに繋がります。人の為になる努力をすること、そのために俯瞰したり探究することが、より良い生涯を送ることに繋がるのであると生徒達に伝えているんです。しかしながら、中学生にとってこのような考え方はまだまだ難しいですね。ですから、端的に分かりやすく、挨拶をしっかりすること、人の話をよく聴くこと、物事に一生懸命取り組むこと、と伝えています。

このように哲学教育でより良く生きるということをテーマにして、物事をじっくり考えた上で、さらに肝心なことは「行動する」ということです。いくら理屈をこねても、行動しなければ意味がありません。行動するには勇気がいるし、場合によっては非難をも覚悟の上で行動していくことも必要です。「結果が全て」という言葉がありますね。私は実は、この言い方があまり好きではありませんでした。その理由は、プロセスは二の次で、結果さえ出れば良いという意味と捉えていたからです。しかし、別の見方をすると、結果が出せるということは、結果が出るようなプロセスを踏んできたということです。結果が出ないということは、いくら一生懸命やっていてもプロセスが間違っていたということ。つまり、結果とプロセスは実は繋がっているのだという考えに至りました。何が言いたいかというと、このようにして考えることも哲学だということです。生徒に問いを立てて話し合い、それをみんなが納得できるように絞りこむ。そのような訓練が実を結べば、どのような職業に就いても生きるプロセスやそこから生じる結果の是非を、またどんなステージにおいても活躍できる人材になれると思います。

 

授業:哲学

四谷:非常に難しいテーマに取り組まれていらっしゃると思います。

校長:そうですね。ただ、ありがたいことに、建学者の井上円了先生は哲学者でしたので、理念を大事にしてこそ私学だと素直に思うことができます。哲学は、長い時代を経ても変わることのない、不易なものと私は捉えています。ですからこれを基礎として、学校作りをしっかり行っています。基礎を飛び越えて先に進んでしまうと、おかしくなります。勉強に例えるなら、難問奇問は解けるけど、基本が分からないということが稀にありますよね、難しいものにばかりに頭が働くようになってしまってその基盤になるものがないと、別の場面に出会った時に対応できない。そのためにも基礎が大事だと考えています。

実は、私は元々都立高校での勤務が長く、前任は都立日比谷高校にいて校長をしていました。日比谷高校であるがゆえに、多くの有名な方々と出会う機会があったのですが、ほとんどの方はすごく謙虚なんですね。そのような姿を幾度となく見ることで、謙虚だからこそ偉大な研究ができたのだ、謙虚であるからこそ頑張れたんだ、ということが分かってきたのです。なかでも特に私の印象に残っているのは、天文学者の小平桂一さんという方で、日本が誇る「すばる望遠鏡」をハワイ島のマウナケア山頂に建設した方です。私が日比谷高校の校長を退任する前に、日比谷高校の生徒達に小平先生の講演をどうしても聴かせたくて、東京大学の安田講堂をお借りして講演して頂きました。今でも記憶に鮮明に残っているのは、講演が終わった後の生徒を交えた討論の時でした。その時、私が司会をさせてもらったのですが、生徒との討論の中で、なぜ小平先生はすばる望遠鏡を作る決心をされたのか、という質問があったんです。小平先生は、

「日本が誇る望遠鏡を作ることは、日本の全ての天文学者の夢です。しかし、誰かがそれを実現しない限り、それはただの夢で終わってしまう。ところが、お金も時間も膨大にかかるので、現実にはなかなか動く人がいない。その時、私しかやる者はいない、私が行動するんだと思いました」ということをお話されたと記憶しています。そのお話を聴いて、私はいたく感動しました。

その建設費は400億円という膨大な金額でした。そのときの首相は、最初は建設に反対されたそうです。小平先生は学者であるにもかかわらず、政治をも動かすような大きなことに関わり、最後には建設が認められ、夢を実現していきます。夢の実現までには途方もない年月と労力がかかりましたが、それでもすばる望遠鏡は、今のこの瞬間も確実に新しい惑星を発見しています。この話の結論は、「自分にしかできない」という強い使命感を持って夢を実現させ、そしてその夢の実現は自分だけでなく、日本中の全ての天文学者の夢を実現することになるということなんですね。この学校で言えば、私が責任者ですので、より良く生きるという目的のもとに、私がビジョンを立てていますが、その夢を実現することは、結局は私だけのことではなくて、みんなの夢の実現なのです。そういったことを肝に銘じながら、学校作りをしています。

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四谷:大変素晴らしいお考えです。哲学教育について、もう少し具体的にお聞きしたいです。

 校長:はい。哲学教育を実現するために、何が必要なのかということですが、結局は学習に繋がっていきます。哲学ですから、一つには真理を探求する学問であるということ、そしてもう一つは、創始者である井上円了先生が仰った「思想を練磨する」ということです。簡単に言えば、考えるトレーニングをするということです。考えるトレーニングをするためには、考えるための力を持たないといけません。これはつい最近、学校集会で生徒達にも話したのですが、考えるためには自分の中に「考える材料」を持っておく必要があります。言葉もそうですよね。日本人なら日本語で物事を考えるわけだから、日本語で考えるために必要な言葉を持っておく必要がある。それから知識も必要です。そして、そのことに関する知識だけではなくて、全く別の知識をも持っておくことで、より広い視野で物事を考えられるようになります。例えば、文学に関することを考えようとしたときに、理系のことも知っておいて初めて文学に幅が出来るということです。そのために私たちは、教養を中学高校の時にしっかり身に付けておくことが大事だと考えています。そのことによって、考えるトレーニングそのものがらせん状に、広く高くなっていくのです。

授業 (3)

併せて、俯瞰する力を養いたいと考えています。物事を俯瞰するということが出来ないと、人の立場に立って考えるということができませんが、俯瞰する力をつける意味も込めて、本校では全科目履修型のカリキュラムを採っています。昨今ICT活用が叫ばれていますが、便利さのあまり、自分で書いて考えることの大切さが失われてきているように思います。メモをとったり、キーワードを書くということは、考えるための基礎にもなりますので、本校では今後も時間をかけてオーソドックスな教育をしていくつもりです。私もスマートフォンは便利なので利用していますが、使い方を誤るととても困ることになってしまうという懸念があります。効率の良さと効果を踏まえると、積極的なICT活用の研究を進め、時期を見て必要と判断した際には積極的に導入したいと思います。まずは、学ぶための基本を追求しています。

四谷:理系文系を分けた方が良いという議論もあると思いますが、全科目履修型の意図は他にどんなことがありますか?

校長:一つは、将来どういう方向に進むにせよ、様々なことをしっかり学ぶための基礎を作ることが大事です。今は苦手でも、案外自分が苦手だと思っていたものに興味を持つかも知れない。才能が眠っている可能性があるからです。もう一つは、出来ることならば、ほとんどの生徒が国公立大学に入学して欲しいと考えているのです。国公立大学の魅力は、国からの補助で、私立大学と比べるとずっと安い費用で通うことができる点です。それから、研究機関もたくさん用意されています。教師陣の数も、私立大学と比べれば圧倒的に多いですしね。

四谷:東洋大学の附属でもありながら、国公立大学への意識も大きいのですね。

 校長:そうです。極端に言えば、みんな国公立大学に行ってくれても良いのです。東洋大学との間でも、附属高校であってもみんなが内部進学するという形ではなく、国公立大学にたくさん行けるような学校にしたいという旨は伝えていて、快諾してくださっています。とは言え、最終的に東洋大学に行きたい生徒が数十名は出て来るでしょうし、基礎力を身に付けてさえいれば、東洋大学で大きく活躍できるでしょう。極論ですが、もし東京大学に合格できる生徒であっても、東洋大学に行きたいと言えば、東洋大学に行けばいいのです。そういう生徒であれば、東洋大学を卒業してもいろいろな形でリーダーシップを発揮できるし、どんな場所でも活躍ができると思います。

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四谷:「キャリア教育」の基礎となる考え方は、今お話しされたことですね。

校長:はい。いろいろな考え方があって良いし、それを選べるだけの基礎作りを大切にしています。大学附属の場合、入学してしまったら安心というような発想になりがちですが、そういうことは本校では全くありませんし、生徒にも言わないようにしています。

四谷:「国際教育」についても詳しくお伺いできますか?

校長:はい。国際教育は大きく分けて3つあります。「国際理解」「国際英語」、そして「国語で論理」です。国際教育なのになぜ国語なのかと思われるかも知れませんが、国語による論理的なものの見方や考え方を身につけなければ、英語によるコミュニケーションは取れません。「国語で論理」では、国語で書かれた文章を要約したり、それとは反対にいくつかの言葉を使って表現し、内容を膨らませることをします。例えば、時間が3分しかない時に、ポイントを絞って3分で伝える。逆に、1時間与えて1時間掛けて詳細まで伝える。このような基礎力を身に付けておけば、誰とでも深くコミュニケーションが取れるでしょう。これが何に繋がるかというと、国際化に繋がっていきます。これからの日本は、たくさんの外国人が住むようになるでしょうし、直近の転換期は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの時だと思います。1964年の東京オリンピック・パラリンピック前後に日本は大きく変わって、高度経済成長に入って行きました。今回の2020年を機として、日本に来て永住したいという人も出てくると思います。小さな島国ですが、日本の良さを感じる人が多くなり、そして海外から来た人の労働力や知恵が活用される時代となるでしょう。そして、中国や韓国、フィリピンといった、アジアの国々との友好が特にこれからは求められます。きちんとした考えを持って、正確に伝えることがより重要になるということです。

 ネイティブ先生と

このような考えから、他の国々の生活や文化・歴史などの学習もしっかりと行っています。もちろん、英語を話せるようになることは大事ですので、海外研修も活発です。フィリピンのセブ島での語学研修、中学3年の修学旅行ではカナダにあるバンクーバーやビクトリアに行きます。ホームステイで寝食を共にし、実生活を垣間見るという体験をします。そのような経験を全員ができるのです。高校になれば、アメリカ・オレゴン州のサマープログラムがあります。東洋大学に推薦で進む生徒達が、大学入学後にモチベーションを上げられるよう、ポートランド州立大学で2週間学ぶプログラムも組んでいます。このようなことを中心に、国際教育にしっかりと根を生やそうとしています。

 セブ島

しかし、会話ができるだけではなく、読んだり書いたりできなければ考えるということはできません。考えることができて、初めてきちんとした英語を話すことに繋がります。もちろん、身近に英語を感じてもらうことも大切なので、入学してすぐの時期に、イングリッシュキャンプも行っています。慣れることを目的とした英語漬けのキャンプです。もちろん入学したばかりなので、きちんとした英語を話せるわけではありませんが、身振り手振りを交えながら、これでも通じるんだと気づくことができます。これまで外国人というだけで苦手だとか怖いという先入観がある生徒でも、そうやって積極的に伝えることをすれば、苦手意識などは単なる思い込みだったと分かってきます。会話をすれば日本人との違いが分かってきますので、アメリカの人はこういう特徴、中国の人はこういう特徴があるのだと知ることが、相手への理解に繋がるんです。

Let's Chat in English!(大学留学生交流)

これも日比谷高校在任中での出来事ですが、中国の上級公務員が会談終了後に、お土産を持ってきましたからどうぞと言って、トランプを配るようにみなさんに投げて配ったのです。日本では失礼と取られ兼ねない行為ですが、彼らにとってはそうではないのです。そういうことがあっても不思議ではないんだという理解があれば、失礼な人だと感じることもありません。逆に、日本ではそういうことはしませんよと言ってあげれば、中国の人も学ぶわけです。相手のことをまず受け入れるということが、国際化に繋がります。英語を話すだけではなくて、交流する機会も持ちたいと考えています。

四谷:哲学教育での俯瞰の必要性とも繋がっていると思います。

校長:そうですね、全てが繋がっています。「哲学教育」「国際教育」「キャリア教育」を三本の柱と呼んでいますが、実は全てが密接に関わっています。3本くっつければ強力になりますよね。いつまでも独立していてはだめなんです。独立させないように継続させていくことも一つの大きな課題です。

今お話ししたようなことを着実に実践していけば、必ず魅力的な学校になって行くと考えています。

四谷:本日は大変貴重なお話をありがとうございました。

都内唯一の「東洋大学附属校」

東洋大学への附属校推薦入学枠が用意されています。日常の学習をしっかりと行い、一定の基準をクリアすることによって、附属校生としてのメリットを活かして東洋大学に進学することが可能です。大学までの一貫した教育により、哲学的・論理的思考力、国際時代を生きる力をさらに磨いていきます。

東洋大学は約3万人の学生を擁する総合大学です。2014年度に文部科学省より「スーパーグローバル大学創成支援タイプB(グローバル化牽引型)」に指定され、2017年度には学生のグローバル対応力育成や、国際通用性の高い大学を目指し、「国際学部」「国際観光学部」「情報連携学部」のほか文学部に「国際文化コミュニケーション学科」(いずれも仮称)が開設される予定です。

また、東洋大学への訪問も行われます。進学へのモチベーションを高め、キャリア教育の一貫ともなっています。

新校舎について

2015年春、文京区白山に地上4階、地下2階建ての新校舎が完成しました。最新の設備とゆとりある空間を備えた学び舎です。グラウンドは一面人工芝の緑が映え、広い空間の中で伸び伸びと活動できます。

私語厳禁の「自習室(約160席)」や、各階の廊下に配備されている「スタディ・デッキ」、ネイティブ教員や日本人英語教員が常駐する「English Conversation Room」など、知的探究心と学習意欲をかきたてる多彩な学びの空間が用意されています。校舎は冷暖房完備で、ICT教育の設備も充実しています。

刑事裁判傍聴学習会

哲学教育の一貫として、希望者を対象に、「刑事裁判傍聴学習会」を行っています。まず傍聴の前に、事前に弁護士や新聞記者の方から、学び方についてのレクチャーがあり、裁判とはどういうものかを聞いたり、法律についての知識を学びます。そして傍聴が終わった後は、テーマを決めて話し合った上で、自分の考えをレポートにまとめます。事後指導の一貫として、実際に刑に服している人はどんな場所で服しているのかという現実を見るために、可能な範囲で、東京拘置所への見学もします。人の生き方や社会のあり方についての思索を深め、多面的なものの見方を養います。

部活動

☆運動系

バスケットボール部(男子)、バスケットボール部(女子)、バレーボール部、バドミントン部、卓球部、剣道部、サッカー部、フットサル部、ダンス部、野球部、競走部

☆文化部

音楽部(合唱班)、音楽部(吹奏楽班)、演劇部、美術部、英語部、文芸部、家庭科部、茶道部、華道部、理科部、園芸部

哲学教育思考表現力入試

今年まで行われていた、通常の中学校一般入試4回のうちの1回分を減らし、それに替わるものとして、哲学教育思考表現力入試を1回分実施します。哲学教育を自分達で考えて課題を立てて行動していく上で、クラスの中での学びあいの中心になってくれる生徒、考えるということを厭わない生徒を集めたいという意図が基となっています。2020年の高大接続改革に向けて、本校のリーダー的存在となる生徒を育てていく上での素地を見るという目的があります。自分の中から湧き上ってくる問いかけに対して書くような問題で、

知識の数よりもむしろ、自分で考えようという意欲が重視される試験となっています。

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