洗足学園中学校高等学校

洗足学園-学校インタビュー

四谷進学会プロ家庭教師センター(以下、四谷):今回は、洗足学園中学校高等学校で校務主任・入試広報委員長を務めていらっしゃる玉木大輔先生にお話しを伺います。どうぞよろしくお願いいたします。

玉木:よろしくお願いします。

四谷:まず洗足学園の教育についてお伺いできますでしょうか。

玉木: それでは、まず建学精神の「謙愛」についてお話します。「謙」は謙虚、「愛」は慈愛を意味しています。この「謙愛」という言葉は、本校の校名ともリンクしています。「洗足」というのは、キリスト教の聖書の一節から取られており、キリストが最後の晩餐後、弟子の足を洗うことからきているのです。この時にキリストが弟子たちに伝えたかったことが「謙愛」です。師匠であり、主であるにも関わらず、自分が跪いて弟子の足を洗うということは「謙虚」を示しています。そして、足を洗うということは、他者に対する「奉仕」を表しています。キリストは、弟子たちが、互いに足を洗うことで、謙虚さを忘れずに、他人に対して奉仕をして行って欲しいと伝えました。ここが「洗足」という一節の一番のポイントになります。その部分から「謙愛」という言葉を紐解いていくと、「謙虚」にして「慈愛」に満ちた心を育む。つまり、謙虚さを忘れずに、隣人愛や奉仕の精神を持って、世の中の為に尽くしていく。そういう女性を育成したいというのが、洗足学園の建学精神になります。

そして、「謙愛」という建学精神に基づいた教育目標として「社会に有為な女性を育む」を掲げています。つまり、「職業婦人の育成」というのが洗足学園の創立理念になります。それは今も変わらない本校のポリシーです。目標を持ち、人生をライフデザインするだけでなく、社会に出て活躍するという要素を入れてもらいたいと考えています。学力にしても人間性にしても、社会に出て活躍できるだけの力を、本校の6年間の中で、身につけさせていきたいというのが教育理念です。

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四谷:理念に基づいた具体的な取り組みとしてはいかがでしょうか。

玉木:教育は、時代に合わせてマッチングしていかなければならないと思っています。「不易流行(ふえきりゅうこう)」という言葉がありますが、本校では建学精神の「謙愛」、教育目標の「社会に有為な女性を育む」というのが「不易」の部分にあたります。「流行」は「不易」と連動すると考えています。世の中に出て活躍する女性を育成するには、世の中の変化を常に学校が認識して、子供たちを送り出していく必要があります。90年前は裁縫の力で女性は社会に貢献していく時代でしたので、洗足は裁縫学校からスタートしました。でも、現代では裁縫で貢献ということにはいきません。日本も先進国の仲間入りをして、よりグローバル社会になっています。このような社会の変化を、教育カリキュラムに落としこんでいくことが、本校の考える「流行」にあたります。本校は改革の学校として評価を頂いていますが、改革というのは、正に「流行」の部分です。

四谷:では、御校では今の世の中をどう捉えているのでしょうか?

玉木:それには2つキーワードがあると考えています。一つは、「グローバル化」。もう一つは「女性がライフデザインできる時代」になってきているということです。「グローバル化」は様々な形で捉えられていますが、本校では「国際標準化」と捉えています。今までの日本の独自教育と、世界の教育の壁がなくなり、今後は同じ土俵の上に乗るようになってきています。学校教育という観点から見ると、「国際標準化」は、自分の頭で考えられることがポイントになると思っています。従来の日本教育は記憶重視型の教育でした。「知識」をいかに覚えるか、そして「知識」をどれだけ蓄積して答えとして出していけるかという内容です。しかし、これからの教育で重要なのは「知恵」になります。「知識」を活用して、自分の意見を相手に伝えていくことが必要になります。「知恵」の部分を教育していかなければ「グローバル化」していく社会には対応できません。

この部分を教育に落とし込む上で、本校では平成27年度から全学年の授業時間を65分(以前は50分授業)に切り替えを行いました。この延長した15分は、生徒達に考えさせて、自らが発言する対話型の授業を目的としています。これは全ての教科で行っています。

この授業形態にすることでの大きなメリットがありました。今までの50分授業では、平日の各6コマ+土曜日の午前中まで掛かっていた内容が、65分授業では平日5コマのみで終わるようになります。そうすると、土曜日に授業以外の活動が可能になります。そこで土曜日を有効活用するために「フレキシブルデー」と位置づけた主体的な学習のできる日にいたしました。土曜日に任意にとることができる講座として、社会の第一線で活躍されている方を講師に招いての教養講座を設置しました。教養講座の一例としては理化学研究所の方や、ジャクサの方を招いた講座等が挙げられます。その他にも第二外国語の講座やバレー教室等数多くの講座を設けています。しかし土曜日の使い方はこれだけではありません。自分でやりたいことがあれば学校が後押しもしています。学外での活動に参加する他流試合(学外交流活動)です。外部セミナーやボランティア活動等、多くの外部活動は土曜日に実施されていることが多いと思います。土曜日が自由に使えるようになったので、このような他流試合に積極的に参加できるようになりました。学外のセミナーやボランティア活動、学内での教協講座や第二外国語の講座、オーケストラの活動など、何を土曜日に行うかは生徒自身が決められるようになっています。洗足の教育の特徴は、主体的に行動できる力を育むことと言えるでしょう。

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四谷:土曜日をフレキシブルにしたことによる効果はいかがですか?

玉木:効果はハッキリと見えています。「フレキシブルデー」は自分で、何を行うのか決められるのが一番の魅力です。他流試合は年々参加する生徒が増えてきています。これは意欲の表れだと感じています。他流試合は、自発的に動いていかなければなりませんので、他流試合に参加する生徒が増えることは学校としては嬉しいことです。学校長は、他流試合にどれだけ参加できるようになったかということも、学校教育の成果だと考えています。どの大学に入ったかではなく、そこをステップにして、どういう生き方をしたいかを考えられる女性になって欲しいと思っています。大学合格が最終目標なのではなく、入学後に何を学びたいのか、卒業後にどういう職業をつきたいのか、どういう生き方をしたいのかが重要だと思っています。

四谷:「ライフデザイン」については、いかがでしょうか?

玉木:そうですね。まず本校としては、自分で考え、人生をデザインし、その力を他人や世の中の為に使える人物に育って欲しいと思っています。そして、常に成長を目指し、努力し続けられるような人物を育てる教育を目指しています。そのために、他流試合や土曜講座を取り入れていますが、これはあくまで任意になります。学内全体では、総合学習を実践しています。総合学習は各学年でテーマを決めています。中学1年は国際理解、2年はボランティア、3年は平和学習と研究論文です。そのテーマの中に、「社会に有為な女性を育む」という教育目標を組みこんでいます。例えば、ボランティアについては、まず意義の部分から考えさせます。ボラティアは、する側も成長できるので、受ける側とはイーブンな関係といえます。これを理解していないと、受ける側も快く受けられないということを、自分たちで理解させるようにしています。学問の観点だけでなく、人間性という点でも育成を図っているのです。全員参加の総合学習の代表として、文化祭や体育祭があります。このような行事は、生徒が自分たちで考えて企画立案し、進行まで行います。教員は基本的に、安全管理を中心に生徒達を温かく見守ります。そういう環境の中で成長を促しています。この成長が、「ライフデザイン」できる女性に繋がっていると考えているからです。また、行事だけでなく、部活動も全て中高合同で行っています。下級生は先輩の背中から何をすべきかを学び、上級生は後輩を指導することでリーダーとしての自覚を学びます。これからは女性がリーダーになる時代なので、自立した女性に育って欲しいと思っています。「自立」というのは、本校の人間性の育成におけるキーワードともいえます。自ら立つという意味の「自立」だけでなく、自ら律するという意味の「自律」も含めて考えています。

四谷:一人の人間として成長できるのですね。

玉木:そうです。洗足の目指す人物像で「世界で活躍できる能力を有した人間」を上げているのですが、本校では卒業後の進路も世界的な視野を持っています。本校が会場となって行われる模擬国連や、多くの語学研修なども用意しているので、視野が世界に向くのは必然かもしれません。模擬国連に参加することで、自分たちの学んでいることが、いかに実学に役立っているかが理解できます。そうなると学習意欲が湧き、自分の進路をデザインするようになります。実際、海外の大学への進学も年々増加しています。進路選択の幅が広いのは、本校の特徴の一つです。海外に行けるだけの素質や学力も、本人が望めば身につけられるだけの選択肢を提供しています。海外大学進学のための説明会も学校側で用意していますが、参加者数を見ると、関心が高まっているのが分かります。また、本校では、グローバルスタンダードを意識して教育を行っていますので、今後、近いうちに文理分けをなくし、高校3年まで総合コースという教育方式を取ることを考えています。現代の日本の教育では、早い段階で文理選択を行うことで、大学受験に向けて学習していますが、そうすることで進路選択の幅を狭めてしまいます。現在は、本校も文理は分けてはいますが、文系コースでも数学・理科を必修としていますし、理系コースにも国語・社会を必修としています。全てを学ぶという意味では、既に実践はされていますが、文系では数学・理科の時間は少なくなっていますし、理系では国語・社会の時間は少ないので、今後は総合コースとしては、最後まで分けずに全てを学ぶ形にしようと思っています。そうすることで最後まで選択肢の幅を広げられるようにと考えています。本校では、帰国生が学年の1割程いるのですが、彼女たちの存在も大きいです。一般生にはない発想を持っているので、刺激になりますし、ネイティブなスピーチは憧れを抱く生徒も多いです。また、帰国生がいることで海外を身近に感じて、海外へ進路を目指す生徒が増えているのだと思います。そのため、海外大学へ進学している生徒は一般生の方が多いのも特徴と言えるかもしれません。帰国生も自身の英語の力に頼った進学ではなく、英語ができているからこそ他の教科に力を入れて国公立への進学を目指す生徒も多いです。

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四谷:先生方が指導の上で心掛けていることは、いかがでしょうか?

玉木:「面倒見」と「自立」のバランスです。中学1・2年の段階では、ある程度の面倒見が必要となります。この時期は宿題や、自宅学習の内容等も管理して、迷わないように組み立てています。そして、中学3年頃から徐々に自立へと促すようにしています。そのために、自ら動いて活動する機会を増やしていきます。中学3年では研究論文に取り組むので、自分でテーマを決めて、企業などにアポイントを取ってリサーチを行い、自分の仮説を立証した上で自らの意見をまとめて作成します。自分で考えて進めていく必要があるので、自立していくのが見ていて分かります。各学年の成長段階で、先生方も生徒ごと成長を意識してバランスを取り指導しています。

四谷:最後にこれから受験を考えているご家庭へメッセージをお願い致します。

玉木:洗足は、入学時にこういう子でなければならないという人物像はありません。どんな生徒でも受け入れられる態勢が整っています。本校に来て、建学の精神に共感して、そういう方向へ育って欲しいと思っているので、多様性のある学校といえます。是非、まずは学校を見て、本校の雰囲気を感じて頂けたらと思います。

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他流試合

グローバル化する現代社会において、女性の活躍の舞台が拡大していくことは間違いありません。将来を選び取れるだけの学力のみならず、幅広い意識の向上と視野を広げるために、本校では「他流試合」と称して学外交流活動への参加を奨励しています。国外では世界各国の高校生が国連大使として、国際問題について議論を交わす「模擬国連」をはじめ、国内では経団連が主催する「次世代リーダー養成塾」など、学内だけでは体験できない「外」の空気を経験し、強い責任感と自律心を育む取り組みとなっています。その他にも学校側が用意したものだけでなく、生徒が自身で見つけてきた講座等も学校が後押しして受講できるようにしています。世の中の動きに関心を持っている生徒が増えているので、他流試合も年々増加しており、生徒の成長を実感しています。

 ※2014年度の他流試合の実績例はこちら

 

 

部活動

中学では約95%、高校でも約85%の生徒が部活動・同好会に加入しています。

洗足の部活動は「競技性」より「生涯性」を重視しています。生涯続けられる芸術的趣味やスポーツ競技を身につけることができれば、人生はとても豊かなものとなります。先輩・後輩の関係を学んだり、文化部であれば教養、運動部であればスポーツマンシップなどを学ぶことのできる貴重な時間と捉えています。決して強い部活は多くありませんが、みんな全力で取り組み、勉強との両立も頑張っています。学校の方針としても、部活は最後まで続けるように伝えていますが、ほとんどの生徒が最後まで継続しています。最後まで続けることによって、精神力も身につくと考えています。

学校行事

修学旅行はテーマが決まっています。中学3年生は平和学習をテーマに九州に行きます。中学1年で学んだ国際理解や、中学2年で学んだボランティア活動などの集大成という位置づけになります。長崎に行き、平和式典や、牧師講話などの様々な取り組みを通じて、平和について考える機会を持っています。また、大分県にある立命館アジア太平洋大学と連携しており、そこでディスカッションを含めたワークショップも行います。高校生は、京都・奈良に行きます。中学の段階で、海外との繋がりも理解し、高校で日本の文化を学びます。日本人としてのアイデンティティなども学ぶようにしています。

また、海外に関しては、語学研修も充実しています。夏期または春期休暇中に実施する海外語学研修や、中学3年次の4ヶ月間および高校1年次の4~8ヶ月間の短期留学、高校1年生を対象とした10ヶ月または11ヶ月の長期留学など様々な国際交流ブログラムを設定しています。留学に関しては、単位互換も行っているので、安心して参加することができます。様々な形で、海外と関わりを持つことができるので、海外を身近に感じることができると思います。

平成27年度合格実績

〇国公立大学 ※()過年度生内数
東京大学2名
京都大学1名
一橋大学4名
東京工業大学5名
大阪大学3名(1名)
九州大学1名など

〇私立大学
慶應義塾大学95名(8名)
早稲田大学92名(6名)
上智大学33名(1名)
東京理科大学34名(4名)
国際基督教大学5名(1名)
学習院大学9名(2名)
明治大学136名(8名)
青山学院大学54名(3名)
立教大学48名(2名)
中央大学37名(7名)
法政大学51名(2名)など

〇海外大学(現役17名、過年度生3名)
ハーバード大学1名
デポー大学1名
センメルヴェイス大学医学部医学科1名
ペーチ大学医学部医学科1名
セゲド大学医学部医学科1名
ベルモント大学1名
カールトン大学1名
フォーダム大学1名
キングス・カレッジ・ロンドン1名
レイクフォレスト大学1名など

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