渋谷教育学園渋谷中学高等学校

渋谷教育学園渋谷中学高校

四谷:今回は、渋谷教育学園渋谷中学高等学校の入試対策部部長、鈴木一真先生にお話を伺います。鈴木先生、よろしくお願いいたします。

鈴木:よろしくお願いします。

四谷:それではまず、貴校の教育理念について、お伺いできますか?

鈴木:一番大きな目標として、「自調自考」があります。自ら調べて自ら考えるという意味ですが、端的に言えば、6年間掛けて自主的に行動が出来る生徒になって欲しいということです。入学当初は、自主的に動くことがなかなかできませんが、日々の学校生活の中で自主的に行動出来るような取り組みを行うことで、少しずつ行動出来るようになっていきます。

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四谷:具体的にはどのような取り組みを行っているのですか?

鈴木:毎日の時間管理から研修のスケジュール作りなど、あらゆる面において自分で考えさせるようにしています。勉強で言えば「明日までに1ページ覚える」というような短いスパンではなく、一週間や二週間など、ある程度長い期間を設けることによって、自分で計画を立てて考えさせるようにしています。チャイムを鳴らさない「ノーチャイム」でも、自主的に時間管理をする必要性を求めています。行事で例えるなら、文化祭は生徒達自身でほとんど全部作り上げています。各企画も実行委員会の判断で許可を出しています。修学旅行では班ごとに行く場所や行動の仕方など、ほぼ全てを自分達で考えさせています。特に中学時代では、あえて失敗を恐れずにやらせることで、そこから学びとってもらうことも大事にしています。そのような試行錯誤の繰り返しを6年間続けていくことで、みんな見違えるほど成長していきます。

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四谷:自由でありながら、一人の責任の重さを感じます。

鈴木:そうですね。ただ、自由ばかりではなく、厳しく言う時もあります。一番してはいけないことは、人を傷つけてはいけないということです。他人を揶揄したり頭ごなしに否定するようなことには厳しい対応をとっています。中1の最初の時には、生徒間でのトラブルも少なからずありますので、そういった時にかなり時間をかけて指導します。そうすることで、早期に問題を解決する体制ができているため、いじめに繋がったりはしません。30人という少人数のクラスということもあり、担任教員の目も行き届きやすくなっています。校長講話でも倫理観について触れることは多いですね。「自調自考」「国際理解教育」「高い倫理観」が本校の柱となっています。

四谷:「国際理解教育」についてですが、渋渋と言えば帰国生や留学生の受け入れが有名ですね。文化的な違いなど、一般生のとまどいはありませんか?

鈴木:もちろん最初はあります。海外での生活では、自己主張しないと取り残されてしまいかねないので、日本での生活とのギャップも多く、ぎくしゃくすることもあります。予めそういったトラブルを想定した上で、それぞれの立場から物事を考えることが出来るように、お互いの意見を擦りあわせ、折りあいをつけるようにしています。

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四谷:社会に出れば様々な性質の人達がいるので、中高6年間の経験が生きると思います。

鈴木:そうですね。「どんな生徒が入学することを望んでいますか?」とよく質問されますが、本校としては、いろいろな個性を持つ生徒に入ってきて欲しいと思っています。留学生や帰国生もそうですし、編入試験も実施していますので、いろんな経験をしてきている生徒が入り混じっています。本校に入学してくると、同じ年齢でも自分と大きく違う考えを持っている子がたくさんいることに気が付きます。そして、その子達とどう折り合いをつけて生きていくべきかを考える良い経験に繋がります。「国際人を育てる」ということも開校以来の目標ですが、今まさにそうなる必要がある時代に来ています。

四谷:国際人としての資質を養うために、必要なのはどのようなことですか?

鈴木:どうしても日本の場合、英語を話せばいい、とにかく喋れば良いという雰囲気がありますが、重要なのは「英語を使って何を伝えるか」だと思います。

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英語を話すことが目的ではなく、どう発信するかに焦点を当てて学習すべきではないでしょうか。本校では、海外から東京外国語大学に留学にきている大学生のような、年齢的にも英語力としても高いかたにもお越し頂いてディスカッションすることもありますが、このように色々な国の人と接する機会を多くもっています。そこで大切なのは、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、世界の人達と接するということです。本校の卒業生の中には、海外大学に進学する生徒も多くいますが、もっと日本の歴史を勉強しておけば良かった、という話をよく聞きます。ただ英語が使えるのではなく、世界の中での日本の代表者として、しっかりとした知識を持っていて欲しいと考えています。この数年、SGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定されたことで、その予算を有効に活用するため、研修と報告会を行っています。広島で原爆について調査したことを、アメリカ(フロリダ)で現地の高校生に広島のことを伝えるのです。こういった取り組みは、知識の必要性を考える大きなチャンスだと言えます。

 四谷:渋渋生の英語力が高い理由は何でしょうか?

鈴木:帰国生は元々英語力が高いのですが、一般生の中には、小学校時代に全く英語を勉強してきていない生徒もたくさんいます。渋渋というと英語の授業に力を入れているというイメージが強いのですが、どちらかというと「英語に対するモチベーションが高い」のだと思います。帰国生や留学生は、英語の方がむしろ得意なので、普段から友達同士、英語で会話しています。 それを見た一般生の子達は、それを冷ややかに見るのではなく、自分もあんなふうに英語を話せるようになりたいと感じるようになり、より勉強に励むという良い影響があります。帰国子女ではない一般生で、中1から英語を始めた生徒でも、毎年10名以上海外の大学に入学していきます。

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四谷:海外への大学進学に向けた特別クラスなどを設けているのですか?

鈴木:本校の方針として、クラスを習熟度別に分けるようなことはしていません。単純に学年を3等分する形で分けています。どのクラスからも東大志望もいれば美大志望も海外大学志望の生徒もいます。どのクラスでも同じシラバスが配られますが、これによって、生徒達も授業の進み具合を確認しながら、自分で計画を立てて学習出来ます。

 

シラバスでは、中1と中2がAブロック(基礎基本)、中3と高1がBブロック(自己理解)、高2と高3がCブロック(自己実現)です。Aブロックは、勉強習慣や生活習慣をつけることがメインです。Bブロックの初め頃から、自分自身を客観的に見た上でどういう職業に向いているかを考えさせ、何を学ぶためにどの学部を選ぶか、そしてどの大学を目指すかという形で逆算して考えていきます。そしてCブロックではその明確な目標を意識しながら、実現に向けて学習を進めます。本校では東大を目指す生徒が多くなってはいますが、本人で考えた結果として、早稲田に行きたい、芸術大に行きたい、海外の大学に行きたいと決めたことに関して、我々教員は協力して後押しする立場をとります。

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ただし、医学部については別で、むしろ本当に真剣な気持ちで志望しているかを確認するようにしています。人の生き死にに関わることですし、医学部は6年間ありますので、入った後にやっぱり思ったのと違った、ではすみません。それ以外の学部であれば、基本的に本人が行きたいところを後押しますので、学校側として、この大学に行きなさいという指導は一切しません。当然そういった目的のための講座も設けていません。しかし、生徒がこんな対策をやって欲しいと言ってきた場合には、たとえ10人未満の少人数でもやります。とはいえ、まず重要視しているのは普段の授業ですね。

四谷:雰囲気として、渋渋にはどんな生徒さんが多いでしょうか?

鈴木:やはり渋谷という立地上、敷地が広くはないこともあり、女子生徒の方が多いです。学校のイメージとして、活発な女子が多いというイメージを持たれがちですが、男子も高校生ぐらいになると成長してくるので、男女関係なくリーダーシップを取るようになります。今回のオバマ大統領の広島訪問について、我々教員は後から知ったのですが、渋渋生が大統領に手紙を出していたそうなんです。朝日新聞でもそのことが取り上げられていました。何かとコンクールやイベントに自分からどんどん申し込んだりして、そんな積極的な生徒が多いのも特徴です。

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もちろん、みんながみんな積極的な子ばかりではありませんが、それぞれがお互いの個性を認め合おうという雰囲気があります。どんな子にも居場所があり、学年全体として、生徒同士の仲が良い、それが渋渋の良いところだと思います。教員としても、できるだけ楽しい学校生活を送ってもらおうと考えています。

四谷:鈴木先生、本日は貴重なお話、誠にありがとうございました。

 

四谷:この後は、英語ディベート部についてのお話を北原隆志先生に伺います。北原先生、よろしくお願いします。

北原:よろしくお願いします。私が英語ディベート部を創設したのは9年前です。私たちが主に行っているものは「パーラメンタリーディベート」といって。20分間の準備の後、すぐに試合を始める即興型ディベートです。当時は高校生向けのディベート大会と言えば、事前に決められたテーマに対して約1年間掛けてリサーチし、議論するアカデミック方式のものしかありませんでした。1年間と20分間では全然違いますよね(笑)パーラメンタリーは、もともとイギリス人議会の政治家のトレーニング用に作られたものです。例えばオバマ大統領のスピーチのように、人を惹きつけるユーモアやコモンセンスが重視されます。日本国内でも、大学ではパーラメンタリーディベートの大会が多くありましたので、大学にお願いして、大学生に混じって8年前から参加させて頂いています。

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そのような活動を続ける中で、パーラメンタリーの即興型ディベートの方が、実社会で役立つと考えて下さる先生が増えたことにより、5年前に他の学校と一緒に高校生の大会を立ち上げることが出来ました。それが「HPDU」です。その後即興型ディベートを行う学校も増えてきました。昨年は「PDAWC」という日本初の高校生世界大会も開催され、本校の生徒は、イギリス1位の高校チームに勝ち、優勝することができました。ディベートの本場であるイギリスに勝ったことにより、日本中の高校生や英語の先生が「日本人でもやればできるんだ!」と思ってもらえればうれしいです。

 

四谷:とてもすごいことですが、なぜそこまで上達できたのですか?

北原:勝因は2つあると思います。1つは、「知識量」です。やはり日頃からアンテナを張って、知識を吸収しようとする意識が必要です。本校の図書館においてある英字新聞に毎日目を通したり、授業中も貪欲に学ぼうとする姿勢が大切です。例えば本校の社会科の授業は、教科書に書かれていること以外にも現代社会の色々な問題を取り扱っているので、ディベートには役立ちます。即興型ディベートは自分のもっている知識のみを使って行うものですから。論題も本当に様々で、例えば、動物実験の是非や、選挙の投票の強制化など、色々な分野の深い知識を持っておく必要があります。ディベートの上手い子は、そういった知識が非常に豊富です。イギリスチームに勝てたのは、渋渋の生徒の方が圧倒的に知識量が高かったからだと思います。

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もう1つの条件は、「論理力」です。賛否どちらの立場でディベートするかはジャンケンで決まりますので、どちらの立場にも立てるよう、日々論理的に説明出来る力を磨いておく必要があります。日本人は数学が得意な人が多いので、繰り返し練習すれば、世界でもトップクラスになれるだけの資質があると言っていいでしょう。

 

四谷:お話を伺うだけで、生徒さん達がディベートを楽しんでいる様子が伝わってきます。

北原:ディベートはゲームですからね。ただ、それだけで終わらせないで、実際に役立つことがたくさんあります。部員の何人かは高校生の国際会議に参加しましたが、そこでも大活躍をしてきました。学校の勉強がテストのためだけに終わらず、実社会に出てからも役立つということが、とても大切だと思います。

四谷:北原先生、本日は誠にありがとうございました。

海外大学進学、海外研修

多くの学校において、海外留学の情報は得にくいのが通常ですが、渋渋には専門のネイティブ教員が多数いるため、先生からのアドバイスを細かく受けることが出来ます。高いノウハウを基に、提出物の準備の仕方や奨学金等についても適切な指導が受けられます。海外大学の進学先は、アメリカのアイビーリーグ(東海岸の名門私立大学8校)やリベラルアーツ系の割合が高くなっています。

 海外研修では、希望者を対象とした中学生のオーストラリア研修、高校生のアメリカ・イギリス・シンガポール・ベトナム研修があります。高校生の海外研修は、渋谷教育学園幕張高校との合同プログラムとなっています。研修内容は充実しており、これをきっかけとして、海外の大学に進みたいという生徒さんもいます。

自調自考論文

与えられた知識を自分なりに深化させ、次の知識に繋げていく。この力を身につけていく教育活動の集大成として、高校1年~2年の2年間を掛けて「自調自考論文」の執筆に取り組んでいきます。他者からの客観的・批評的な視点を得たり、ゼミ仲間の研究に触発を受けたり、コミュニケーションの重要性を認識することが求められ、ゼミ形式で学習を進めながら、最終的には「自調自考論文 優秀論文発表会」が開かれます。

1万2000字(原稿用紙30枚)以上にも及ぶ論文を自分でテーマを決め、長い期間掛けて書き上げていきますので、将来その論文に関連した職業に就きたいと考える生徒も出てくる程の影響があります。

課外授業

「弦楽器講座」は、中学1年生からの希望者を対象に行われる課外授業です。弦楽アンサンブルクラス、経験者クラス、初心者クラスにわかれて受講します。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、それぞれのパートごとに講師の先生が指導しています。クラスにもよりますが、飛龍祭などでの演奏披露、入学式や卒業式の式典に楽団として参加しています。

 

「第二外国語」では、中学3年生から希望者を対象に、英語以外の言語を学べます。ネイティブの教師と一緒に、自分の世界を広げるチャンスとなります。開講講座は現在、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語があります。

大学合格実績

◯国内大学(2015年)

東京大学:33名

一橋大学:10名

東京工業大学:3名

東京外国語大学:4名

北海道大学:9名

医学部医学科:17名

早稲田大学:109名

慶応義塾大学:75名

上智大学:30名

東京理科大学:38名

国際基督教大学:6名など多数

 

◯海外大学(2007年~2015年)

ハーバード大学

プリンストン大学

イェール大学

コロンビア大学

コーネル大学

ジョンズ・ホプキンス大学

マサチューセッツ工科大学

シカゴ大学

ペンシルベニア大学

ニューヨーク大学

タフツ大学

ボストン大学

ブランダイス大学

フォーダム大学

パデュー大学

スタンフォード大学

ワシントン大学

カリフォルニア大学など多数

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