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京華中学校

目指す教育

「偏差値だけでは育たない」――129年受け継がれる、人を育てる教育

 

四谷進学会 溝田:

京華中学校には、129年という長い歴史があります。まずは、京華中学校が創立以来、大切にしてきた教育理念についてお伺いできますか。

 

 中村校長先生:

本校の教育理念は、「天下の英才を得てこれを教育す」という言葉です。これは中国の思想家・孟子の言葉で、創立以来ずっと受け継がれてきた建学の精神なんです。ただ、ここでいう「英才」は、勉強ができる秀才という意味ではありません。創立者の磯江潤は、「社会や国家の役に立つ人材こそが英才である」と定義しました。つまり、知識があるだけではなく、人として社会に貢献できる人を育てること。それが京華の教育の原点なんです。

 

四谷進学会 溝田:

「英才」という言葉のイメージが変わりますね。

 

中村校長先生:

そうなんです。京華が創立された1897年は、日本が近代国家として大きく発展しようとしていた時代でした。「国をより良くするためには、まず若者を育てなければならない。」そんな時代背景の中で学校がつくられたんですね。実は、「京華」という校名を付けたのは、長州藩出身で松下村塾で学んだ品川弥二郎という人物なんです。つまり、京華の教育の源流をたどっていくと、吉田松陰の「人を育てる」という思想にもつながっていくんですね。

 

四谷進学会 溝田:

京華中学校の校章にも古くからの思いがこもっているそうですね。

 

中村校長先生:

これも品川弥二郎の考案なんです。梅の花をモチーフにした校章は、一見すると五枚の花びらに見えますが、実は三枚だけが開き、二枚はまだ閉じたままになっています。まだ開いていない花びらには、「これから成長し、大きく花開いていく」という意味が込められています。梅は寒さの厳しい季節に一番早く花を咲かせる花ですよね。困難な中でも成長し、未来へ向かって花を咲かせてほしい。そんな願いが、校章にも表れているんです。

 

 

四谷進学会 溝田:

129年前から続く理念が、今も学校の根っこにあるんですね。ただ、社会は大きく変わりました。AIが発達し、正解のない時代と言われる今、この教育理念はどのように生かされているのでしょうか。

 

中村校長先生:

社会に役立つ人材を育てるという考え方は、今だからこそより大切になっていると思います。昔は、知識をたくさん身につけて、偏差値の高い大学へ進学すれば活躍できるという時代だったかもしれません。でも、今はそうではありません。AIが知識を持つ時代だからこそ、人にしかできない力が求められています。だから京華では、「学力」だけではなく、「人間力」を育てることを何より大切にしています。

その象徴ともいえるのが、「凡事徹底」という言葉です。特別なことではなく、当たり前のことを丁寧に積み重ねる。その積み重ねが、社会で信頼される人を育てるのです。

 

四谷進学会 溝田:

「凡事徹底」という言葉は、学校生活のどの場面に現れているのでしょうか。

 

中村校長先生:

例えば、ノートを提出するとき、自分の名前が先生から見える向きで提出する。本当に小さなことですよね。でも、そういう相手への気配りが自然にできる人は、社会に出ても信頼されます。私はよく「人の機微が分かる人になってほしい」と話しています。挨拶もそうですし、立ち居振る舞いもそう。相手の立場を考えられることが、人として一番大切なんじゃないかなと思うんです。

 

四谷進学会 溝田:

その考え方は、先生方みなさんで共有されているのでしょうか。

 

中村校長先生:

もちろんです。4月の最初の職員会議で必ず伝えることがあります。それは、「目先のことだけでなく、その子の10年後、20年後を想像して教育をしてください」ということです。授業も、ホームルームも、部活動も。すべての教育活動は、卒業した後につながっていなければ意味がありません。京華の教育は3年間や6年間で終わるものではない。社会へ出てから、その子が幸せに生きていけるか。そこをゴールにして教育しています。

 

四谷進学会 溝田:

だからこそ、中村校長先生が生徒へ伝える言葉も、「今」ではなく「未来」を見据えたものになるのですね。生徒さんにとって一生の財産になりますね。

中村校長先生ご自身も京華の卒業生とお伺いしましたが、校長先生として一番うれしい瞬間はどんなときでしょうか。

 

中村校長先生:

やっぱり卒業生が戻ってきて、「京華で学んで良かった」と言ってくれることですね。実は京華には「Never Die(ネバーダイ)」という言葉があるんです。「最後まで諦めない」という意味なんですが、卒業生や保護者の方が社会に出てから、「やっぱりネバーダイですね」と言ってくださることがあります。在学中はその意味が分からなくても、社会に出て壁にぶつかったときに、その言葉を思い出して頑張れた。そんな話を聞くと、本当にうれしいですね。

 

四谷進学会 溝田:

まさに、社会に出ても役立つ教育をされていますね。

 

中村校長先生:

私が思う「社会に役立つ人材」というのは、決して高い役職に就く人や、たくさんお金を稼ぐ人ではありません。人を幸せにできる人。そして、自分自身も幸せに生きられる人です。私は生徒によく、「自己否定からは何も生まれない」と伝えています。まずは自分を信じること。「きっとうまくいく。」そう思える人は、どんな壁にも挑戦できます。だから私は、生徒たちの可能性を信じ続けたいんです。

 

四谷進学会 溝田:

今回お話を伺っていて強く感じたのは、京華中学校が育てようとしているのは、「受験に強い子」ではなく、「人生に強い子」だということでした。

もし中学校選びで、「大学合格だけではなく、その先の人生まで見据えて子どもを育ててくれる学校」を探しているなら、一度京華中学校を訪れてみてはいかがでしょうか。きっと、学校全体に流れる温かな空気と、「人を育てる」という揺るぎない思いを感じられるはずです。

 

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