京華中学校
部活・行事等
「好き」をとことん追いかける その経験が、社会で活躍する力になる
四谷進学会 溝田:
学校生活の中には、いろいろな「学び」の場がありますよね。京華中学校では、そうした活動を将来につなげていくために、どんなことを大切にされていますか?
中村校長先生:
そうですね。本校の教育理念にもつながるんですが、やっぱり「社会で活躍する人材を育てたい」という思いがあります。そのためには、学校の中だけで完結するのではなく、できるだけ社会との接点をつくっていくことが大切だと思っています。
例えば、以前から「京華スクールナビゲーター(KSN)」という生徒のボランティア活動があります。学校説明会のお手伝いなどをしてくれる生徒たちなんですが、こうした活動も一つの社会との接点ですよね。
それから、地域創生をテーマにしたプログラムにも参加しています。鹿児島県鹿屋市が主催していた地域創生のプロジェクトでは、京華の生徒たちが4~5人のチームをつくって、「人口減少やシャッター街の問題をどうしたら解決できるか」「地域を活性化するにはどんな取り組みができるか」といったことを考えて、プレゼンテーションをしました。ありがたいことに、そこで一番いい賞をいただいて、実際に鹿屋市まで行って、市長や市議会の方々にプレゼンする機会もあったんです。

四谷進学会 溝田:
中学生・高校生の段階で、実際の地域の課題について考えて、大人の前で発表する。かなり本格的ですね。
中村校長先生:
そうですね。去年は広島県の安芸高田市でも、同じような地域創生のプロジェクトに参加しました。こういう活動を通して、自分でアイデアを出して、実際に社会に向けて提案してみる。そういう経験をできるだけ増やしたいんです。やっぱり「社会との接続」というのは、これからの教育では非常に大事だと思っています。
四谷進学会 溝田:
社会との接点という意味では、企業との連携も進めていらっしゃるんですよね。
中村校長先生:
はい。昨年12月にはコクヨさんと産学連携協定を結びました。今年4月からは、コクヨさんが開発したデジタルノートを全学年で採用しています。今後は、単にデジタルツールを使うだけではなくて、高校生が企業と一緒に商品開発をするといったこともやってみたいと思っています。
これまでも探究の授業で企業とコラボレーションして、企業を訪問したり、「クエストカップ」という全国大会につながる取り組みに参加したりしてきました。
これからは、高大連携だけではなく、中学・高校と企業をつなぐ「産学連携」を、キャリア教育の一環としてもっと進めていきたいですね。


四谷進学会 溝田:
学校の中で勉強していることが、実際の社会とどうつながっているのかを体験できるわけですね。
中村校長先生:
そうです。やっぱり子どもたちには、「勉強したことが社会のどこで役に立つんだろう」というところまで見てほしいんですよね。それと、もう一つ大切にしているのが卒業生とのつながりです。
本校は130年近い歴史がありますから、いろいろな分野で活躍している卒業生がいます。その先輩たちが、どんな企業で、どんな仕事をしているのか。そこを生徒たちがいつでも見られるようなデータベースを、今少しずつつくっています。例えば「航空業界で働きたい」と思ったときに、「京華の卒業生で航空業界にいる先輩がいる。じゃあ、その先輩に話を聞いてみよう」ということができる。そういう「先輩との接続」があると、将来を考えるきっかけにもなりますよね。
四谷進学会 溝田:
130年近い歴史が、単なる「伝統」ではなく、今の生徒さんのキャリアにもつながっていくんですね。
中村校長先生:
そうですね。そして、京華では「先輩から学ぶ」ということを、学校生活のいろいろなところで大事にしています。男子校なので、特に先輩の存在は大きいんですよ。男の子って、だんだん親の言うことを聞かなくなったり、先生の言うことも聞かなくなったりしますよね(笑)でも、先輩の言葉は結構聞くんです。
部活動でも、先輩は技術も知識もありますし、憧れの存在でもある。上下関係は厳しいというより、むしろ緩やかで、友達みたいに仲がいいんです。でも、ちゃんと先輩を立てる。その関係性があるんですよね。だから、「後輩に教えてあげてね」と言えば、先生の代わりに上級生が教えてくれることもあります。
探究活動でも、中学全体の発表会を行って、各学年の代表が発表する機会があります。下級生が先輩の発表を見て、「すごいな」「自分たちもこんな発表をしたいな」と思う。そういう憧れが、次の挑戦につながっていくんです。
四谷進学会 溝田:
先輩が身近なロールモデルになるんですね。
中村校長先生:
そうなんです。全体集会でも、高校3年生が受験勉強で頑張っている姿を取り上げて、「先輩たちをよく見ておきなさい。次は君たちの番だから」と話すことがあります。そうすると、高3生も「後輩たちのために頑張ろう」と思ってくれる。下級生も「じゃあ自分たちも先輩みたいになろう」と思う。そういう循環ができていくんですよね。
四谷進学会 溝田:
そう考えると、部活動も学校選びの大きなポイントになりそうですね。
中村校長先生:
そうですね。「このクラブに入りたいから京華に来ました」という生徒は実際にいます。特に本校は、文化部が充実しています。鉄道研究部、歴史研究部、アニメーション研究部、理科部、美術部など、男の子が「これ、好き!」と思えるものが結構あるんです。
理科部の中にもパソコン班、生物班、天文班などがありますし、美術部には模型班があって、ガンダムのプラモデルをつくるのが好きな子たちもいます。鉄道研究部なんかは、本当に「好き」が集まるんですよ。撮り鉄など、それぞれ興味の方向は違っても、同じものが好きだから話が合う。「それ分かる!」「それいいよね!」って盛り上がれる。
学校によっては、そういう趣味を周りに言いづらいこともあるかもしれません。でも、ここではそれがそのまま仲間とのつながりになる。
四谷進学会 溝田:
「好きなことを好きと言える場所」があるんですね。
中村校長先生:
そうですね。そして、その「好き」が、実は将来の力にもなっていくんです。例えば文化祭は、文化部にとって自分たちの活動を発表する大きな場です。理科部や鉄道研究部などがブースを出して、展示をしたり、ポスターセッションをしたりする。そこで、自分の好きなことを人に伝える力が鍛えられるんですよね。
以前、鉄道研究部出身の生徒で、大学のプレゼンテーション入試に合格して、念願だった航空業界の総合職に進んだ卒業生がいました。その生徒は、いわゆる「勉強がすごくできる」というタイプではなかったんです。でも、とにかく話す力があった。自分の好きなことについてなら、いくらでも話せる。それを部活動の中で何度も経験して、人前で伝える力が身についていったんでしょうね。
四谷進学会 溝田:
まさに、先ほどお話しされていた「秀才ではなく、社会で役立つ人材」という教育理念につながりますね。
中村校長先生:
そうなんです。私は、これこそ「京華らしいな」と思うんですよ。勉強が得意な子は、もちろん勉強で頑張ればいい。でも、運動部で輝く子もいるし、文化部で輝く子もいる。鉄道が好きな子もいれば、模型が好きな子もいる。そういう「自分が輝ける場所」を学校の中で見つけてほしいんです。
そして、好きなことに一生懸命取り組んでいるうちに、人前で発表する力がついたり、仲間と協力する力がついたり、先輩から学ぶ力がついたりする。最初から「将来のためにこの力をつけましょう」と言われても、なかなか身につかないですよね。でも、「これが好き」「もっとやりたい」という気持ちがあれば、子どもは自然と動き出す。だから私は、学校にはいろんな入り口があっていいと思っています。
四谷進学会 溝田:
中学受験では、つい「大学合格実績」や「授業の進度」など、数字で比較できるところに目が行きがちですが、その先にある「この子が6年間でどう成長するか」を考えることも大切ですよね。
中村校長先生:
まさにそうだと思います。もちろん大学進学は大事です。でも、それだけで教育が終わってしまってはいけない。どんなことに興味を持って、どんな仲間と出会って、どんな経験をして、卒業した後にどう社会と関わっていくのか。
そのために、部活動も、探究も、地域との活動も、企業との連携も、卒業生とのつながりもある。いろんな経験をして、「自分はこれが好きだ」「こういうことなら人の役に立てる」と気づいてほしいんです。そして、その「好き」を入り口にして、社会で活躍できる人になっていく。それが、京華で育てたい生徒の姿なんじゃないかなと思います。



