京華中学校
教科指導
「知識を教える授業」ではなく、「心に残る授業」
四谷進学会 溝田:
「先生の授業って楽しかった。」大人になってから、そんなふうに思い出せる授業は、意外と多くありません。でも、中村校長先生のお話を伺っていると、京華中学校の授業には、子どもたちの記憶に残る”ワクワク”がたくさん詰まっていることが伝わってきました。
先生ご自身が、「これは子どもたちも絶対ワクワクする」と思いながら授業をされたエピソードがあれば、ぜひ教えていただきたいです。
中村校長先生:
私は社会科の教員なんですが、授業では「まず自分自身が楽しむ」ということを大事にしていました。例えば、中学1年生で日本の東西南北を学ぶ単元がありますよね。その中で、日本最南端の「沖ノ鳥島」を扱う授業をしたことがあります。
沖ノ鳥島って、実際には畳十数枚分くらいしかない、とても小さな島なんです。でも、その島があることで日本の領海や排他的経済水域が大きく広がる、とても重要な島でもあります。普通なら地図を見ながら説明して終わるところですが、それでは子どもたちの記憶には残りません。そこで教室いっぱいに紙を広げて、畳十数枚分の大きさの「沖ノ鳥島」をみんなで作ったんです。完成したら、「さあ、沖ノ鳥島に上陸だ!」と言って、みんなで靴を脱いで島の上へ。「本当にこんなに小さいんだ!」「これが日本の最南端?」教室は大騒ぎでした(笑)。
四谷進学会 溝田:
想像するだけで楽しそうです。そのときの子どもたちの表情はいかがでしたか?
中村校長先生:
もう、本当に楽しそうでしたね。もちろん、そんな授業ばかりではありません。でも、大人になって振り返ったとき、覚えている授業ってそういう授業なんですよね。知識そのものよりも、「面白かった」「先生が楽しそうだった」という記憶の方が残っている。だから、そういう時間も教育には必要なんじゃないかなと思っています。
四谷進学会 溝田:
ワクワクを一方的に先生が与えるのではなく、子どもたち自身が主役になる場面も、たくさん用意されているんですね。生徒さんが主体になって取り組む授業も多いのでしょうか。
中村校長先生:
ありますよ。例えば以前、「戦国武将総選挙」という授業をやったことがあります。ちょうどAKB総選挙が話題になっていた頃だったので(笑)。「自分が一番好きな戦国武将をプレゼンして、クラスでNo.1を決めよう」という企画です。
ただ発表するだけではありません。「伊達政宗が一番すごい!」「いや、織田信長でしょう!」そんなふうに、自分で調べ、自分の言葉で魅力を伝える。最後はクラス全員で投票して、一番人気の武将を決めました。実は発表する生徒の中には、手作りの兜をかぶって伊達政宗になりきって登場した子もいたんですよ。「私が伊達政宗です!」そんなふうにコスプレまでして、一生懸命プレゼンしてくれました。
四谷進学会 溝田:
すごいですね(笑)子どもたちも相当楽しいでしょう。
中村校長先生:
こちらから「やりなさい」と言ったわけではなく、生徒が自分で考えて工夫してきたんです。実はこの授業も、1か月ほど前から予告していました。「最後に総選挙をやるから、立候補したい人は準備してね。」そう伝えておくと、授業で学ぶ内容も自然と頭に入ってくるんですよ。「どう伝えたら相手に伝わるかな。」「もっと調べてみよう。」そんなふうに、自分から学び始める姿が見られました。知識を覚えることだけが目的ではなく、自分の考えをまとめ、人に伝える力も育っていく。そんな授業になったと思います。
四谷進学会 溝田:
京華中学校の授業には、「学びなさい」という空気よりも、「やってみよう」「面白そう」があります。先生が楽しみ、生徒も夢中になる。京華中学校の授業は、そんな”心に残る学び”を大切にしていることが、校長先生のお話からよく伝わってきました。


