京華女子中学校
教科指導
「教える授業」ではなく、「考え、対話する授業」

四谷進学会 溝田:
「共感力」の考え方は、普段の授業の中ではどのように表れているのでしょうか?
山中校長先生:
中学生では、体験型の授業をいくつか行っています。その一つが、約1か月かけて取り組むボランティアプログラムです。1年生は手話、2年生は点訳、3年生は高齢者疑似体験を行っています。高齢者疑似体験では、実際に高齢者の身体の状態を再現した装具を身につけて生活してみるんですね。そこで、「こんなに階段が大変なんだ」「物を取るだけでも難しいんだ」と、自分の体で感じてもらいます。知識として学ぶだけではなく、「相手はどんな気持ちなんだろう」と想像できるようになることを大切にしています。障がいのある方や高齢者だけではありません。世の中には本当にいろいろな立場の人がいますから、その人たちに寄り添える力を育てたいという思いがあります。
四谷進学会 溝田:
知識を増やすというより、人としての土台を育てる学びなんですね。
山中校長先生:
そうですね。教員が一方的に説明をして、生徒がずっと聞いているだけという授業は、あまりありません。先生が問いを投げかけて、生徒同士でペアになったり、グループになったりしながら考えていきます。そのあとに発表をしたり、お互いの意見を聞いたり。教室を見に行くと、「あれ、雑談しているのかな?」と思うくらい話していることもあります(笑)。でも、聞いてみると、ちゃんと授業の内容について話しているんですよ。自分の考えを伝えることも、相手の考えを受け止めることも、どちらも大切にしています。
四谷進学会 溝田:
英語教育にも特徴があると伺いました。
山中校長先生:
はい。一人一台iPadを使って、オンライン英会話を取り入れています。一人ひとり違う海外の先生と25分間マンツーマンで話すんです。教室では全員が違う先生と会話しているので、なかなか面白い光景ですよ(笑)。最初は「どうしよう」と緊張している子も多いですが、やっぱり慣れなんですよね。何回も話しているうちに、「意外と通じる」「伝わる」という感覚をつかんで、自信がついていきます。

四谷進学会 溝田:
その積み重ねが、英検などの成果にもつながっているのでしょうか。
山中校長先生:
そうですね。中学生では、卒業までに英検準2級以上を目標にしています。実際には半数以上の生徒が取得していますし、中には2級まで合格する子もいます。中学3年生は、中高一貫校だと少し気が緩みやすい時期でもありますが、「英検」という分かりやすい目標があることで、頑張り続けられる子も多いですね。さらに、高校から新しく入ってくる生徒がたくさんいます。「高校にはこんな仲間が入ってくるよ」と伝えると、「自分たちももっと頑張ろう」という気持ちになる子も多いですね。
四谷進学会 溝田:
進路を考える時にも、「考え、対話する」ことが成されているのでしょうか。
山中校長先生:
はい。大学を選ぶ時も、「どこに入れるか」ではなく、「自分は将来どう生きたいのか」を一番大切にしています。卒業後にどんな人生を送りたいのか。そのためには、どんな大学で何を学ぶ必要があるのか。そこから一緒に考えていきます。以前は指定校推薦を利用する生徒も多かったのですが、最近は変わってきました。「推薦があるから行く」のではなく、「本当に学びたいことがある大学へ行く」。そんな進路選択をする子が増えています。
四谷進学会 溝田:
進学実績だけを追う学校とは、少し考え方が違うのですね。
山中校長先生:
そうですね。もちろん学校として進学実績は大切です。でも、実績を増やすために指定校推薦をどんどん使うという考え方だと、本末転倒になってしまいます。一番大事なのは、「自分がどう生きたいか」。それが決まれば、子どもは本当に頑張れるんです。だからこそ、私たちは、生徒自身が納得して進路を選べるような指導を大切にしています。

